ベトナム人彼女との生活

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技能実習制度の建前と本音

こんにちは、takeです。

 

最近ニュースでも技能実習生という言葉を聞く機会が増えてきました。

私の会社はプラスチックの製造メーカーでして、現場の作業者や加工、検品等の作業者としてベトナム人実習生が働いています。

実習生はベトナムに限らず、中国やタイ、ネパール、フィリピンなどアジアの国々からたくさんの人々が日本へ仕事に来ています。

 

今回はそんな技能実習生はどのような制度の元日本へ働きに来ているのかを紹介していきます。

 

制度の紹介といっても、この技能実習制度には建前と本音があります。

 

私の会社に技能実習生がいるということもあり、企業がなぜ彼らを雇用するかについては自然と情報として入ってきます。

そこで今回、私の感じる技能実習制度について掘り下げていきたいと思います。

 

 

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技能実習生制度

 

まず技能実習制度について話します。

制度についてはJITCO(国際人材協力機構)のホームページに記載されている内容を転載します。(JITCO - 公益財団法人 国際人材協力機構 |

 

『技能実習制度の目的・趣旨は、我が国で培われた技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際協力の推進です。

制度の目的・趣旨は1993年に技能実習制度が創設されて以来終始一貫している考え方であり、技能実習法には、基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(法第3条第2項)と記されています。

技能実習制度の内容は、外国人の技能実習生が、日本において企業や個人事業主等の実習実施者と雇用関係を結び、出身国において修得が困難な技能等の修得・習熟・熟達を図るものです。期間は最長5年とされ、技能等の修得は、技能実習計画に基づいて行われます。』

参照:https://www.jitco.or.jp/

 

要約すると、日本の技術を途上国へ広げ、途上国の経済発展を目的とする。技能実習は労働力の調整のために行われてはいけない。実習生は会社と雇用関係を結び、日本の技術を学び、自国へ反映する。これらの期間は最長5年である。

 

以上が技能実習制度の概要となります。

 

この内容を見ると、途上国を発展させるため日本が一役を担って、その手助けをしているように感じます。しかし、このことは建前に過ぎないないのです。

私の個人的な考えも混じるかとは思いますが、この建前に対してどんな本音が隠されているのかについて掘り下げていきたいと思います。

 

労働力の補填

多くの企業は技能実習生を労働力の補填として考えています。

正直企業側の本音というのはこれに尽きると思います。

 

少子高齢化社会が加速している日本にとって海外からの若くて元気のいい労働者というのはとても魅力的な人材です。

さらに低コストというメリットもあります。低コストというのは賃金が安いということです。技能実習生は正社員に対して6割程度の賃金で雇われています。

 

私の会社のようにモノわ作る製造現場だと、一日の作業のうちのほとんどがルーティンワークで構成されています。つまり一度仕事の内容を覚えてしまえば、誰が行っても大差なく成果が得られるということです。そうなってくると作業につく人スキルというのはあまり求められず、コスト削減すなわち人件費の安い労働者を雇いたいのです。

 

こういった背景を考えれば、なぜ企業が技能実習生を雇うかは理解できると思います。

 

日本への出稼ぎ

次に考えるのは技能実習生側の本音です。

実はそれも簡単な理由です。それはお金を稼ぐため、いわゆる出稼ぎが目的なのです。

 

ベトナムを例として挙げると、ベトナムにおける大卒の月給の平均は約3万円と言われています。(情報が古かったらすみません。)

ハノイやホーチミンといった都市部であればもう少し高いかとは思われますが、二倍にしたところで6万円です。

 

先ほど実習生の給料は日本人の6割程度と言いましたが、具体的に言うと基本給は12万円程です。実習生の給与明細を見せてもらったことがあったので、確かこのくらいだったと記憶しています(笑)。

平均からすると4倍程の給料が得られるということです。

出稼ぎに来るのも納得がいきますね。

 

またハノイやホーチミンといった都市部から離れると仕事があまりないというのも一つ出稼ぎに行く理由として挙げられます。

私の妻の実家はクアンビン省にあるのですが、妻は高校を卒業をした後は仕事をするためにホーチミンに働きに行ったと聞いています。

私の会社にもクアンビン省出身のベトナム人がいるのですが、彼らもまた地元では働けなく、日本へ出稼ぎに来たということになります。

 

本来の目的との不適合さ

企業は安い労働力が欲しく、技能実習生を雇う。

技能実習生はお金を稼ぎたく、日本で働く。

この2点はある意味とてもマッチングしている内容だと思います。

実習生にとって日本の給料は自国換算をすると十分なお金なので、彼らの目的は果たされています。企業もまた実習生に支払う賃金は、仕事内容に対し安く抑えられておりお互いに満足といった状態です。

 

ここで少し考えて欲しいです、技能実習制度ってそんな役割でしたか?

技能実習は労働力の調整のために行われてはいけないのです。実習生は日本の技術を自国へ反映させなければならないのです。

しかし、この条項というのは当事者にとっては建前でしかないのです。

 

また制度には最長5年という制限が定められています。

5年の期間が経つと彼らは帰国をしなければなりません。

 

企業の本音はせっかく5年も働いたことで、スムーズに仕事ができるようになった人材を手放したくはありません。逆も同じで、実習生はもっと日本で働いてお金を稼ぎたいのです。

 

さいごに

今回は技能実習制度の建前と本音について紹介しました。

何事にも良いところと悪いことろが混在するのは仕方がないことですが、ここまで本来の目的とミスマッチしているのはどうかと思います。現行の制度が良くないのは明らかです。改善もしくはそれぞれの目的を満たす新しい制度を作った方がいいのではないかと考えてしまいます。

 

最近、外国人を雇うための制度として新しく特定技能といった枠もできましたが、まだあまり普及していないという話を聞いたことがあります。この新しい制度にも何か問題があるのかもしれませんね。

 

ではでは🇻🇳